アルミニウムは鉄や銅などと比べて耐食性が高く、軽量で融点が低いため加工しやすい材料ですが、曲げ加工の際には割れに注意を払う必要があります。
今回は、アルミニウムの特徴や曲げ加工の種類、曲げ加工時に割れが発生する原因と対処法などについて鋼管加工のプロフェッショナルである宮脇鋼管が解説します。
アルミとはどのような材料?
アルミとはアルミニウムの略称で、そのアルミの種類には、1円硬化の純アルミニウムから、マグネシウムなどを添加することによって強度と耐食性を向上させたアルミニウム合金まで、さまざまなものがあります。
アルミは、用途によって添加するマグネシウムなどの量によって強度や耐食性が変わるという特徴があります。他にも、アルミニウムに共通する以下の特徴が、私たちの生活のさまざまなところで使われる所以であると言えます。
軽量
アルミニウムはとても軽い材料で、鉄と比較すると3分の1程度の重さになります。そのため、鉄や銅では重すぎて使えない時にアルミが活用されます。
例えば、機械の回転部品や飛行機・車などのボディ、また軽量化が進むスマートフォンの素材などでアルミニウムは活躍しています。
溶解性が高い
アルミニウムは鉄よりも溶けやすく、加工しやすい素材です。鉄が約1530度、銅は約1080度で溶けるのに比べ、アルミニウムは約660度で溶けてしまいます。
溶解性が高いことが利点となるのが、鋳造加工です。金属加工で一般的な鋳造加工では、金属を溶かして金型に流し込みますが、アルミニウムであれば低い融点で溶かすことができ、早く加工の工程へと進めます。
金属を溶かすためのエネルギーが抑えられ加工もしやすいアルミニウムは、扱いやすく幅広く選ばれています。
通電性が高い
アルミニウムは電気をよく通す電気伝導率が非常に高い金属です。その通電性の高さから、電線やコンデンサーなどにも使用されます。
さらに、アルミニウムは導電体としてコストが安く抑えられるため、エネルギー関連やエレクトロニクスの分野でとても大きな役割を果たしています。
熱伝導率が高い
アルミニウムは、熱伝導率が高く、熱しやすく冷めやすいという特徴があります。鉄と比較すると、アルミニウムの熱伝導率は約3倍で、鍋などの調理器具やエンジン部品、冷暖房機器、ヒートシンクと呼ばれる放熱部品などで、有効的に活用されています。
耐食性が高い
一般的に、金属は腐食に弱い材料で、鉄などは時間が経つと錆びてしまい、強度や耐久性にも影響が出てしまいます。しかし、アルミニウムは耐食性が高いのが特徴です。
アルミニウムは、空気中で酸化被膜と呼ばれる膜を自ら形成することができ、この酸化被膜が腐食を自然に防ぐのです。錆に強い耐性を得ることができるため、建築物や船など錆びやすい部品などにも活用されます。
磁気を帯びない
アルミニウムは非磁性体で、磁気を帯びない金属です。そのため、磁気に影響を受けてはならない電子医療機器やメカトロニクス機器、船の磁気コンパスなどの機器部品として使用されます。
金や銀、銅なども非磁性体ですが、これらの金属よりもアルミニウムの方が安価で流通量も多いため使用率が高くなっています。
アルミの曲げ加工の方法
アルミニウムは、アルミニウム板などの金属板での曲げ加工が多く行われ、主にロール曲げ、板折り曲げ、ベンダー曲げの3種類の方法が一般的です。
ロール曲げ
ロール曲げは、複数のローラーを使用し、ローラーの巻き上げる力を利用して金属を曲げる方法です。
ローラーとアルミ板の距離を変えることによって、曲げる形状をさまざまな形にすることができ、さらに、アルミ板の端から端をローラーに一周させると、最小限のロスで筒状の部品を形成することができます。
加工時間の短縮が図れるロール曲げですが、加工が可能なアルミ板の厚みは機械によって異なるので、アルミの特性を把握して対応しなければいけません。
板折り曲げ
板折り曲げとは、アルミ板をベースプレートの上に乗せ、曲げたい方向に折り曲げる方法です。
ロール曲げとは異なり、筒状の加工には向いていませんが、アルミ板を直角に曲げたいときや箱型など四角い形に仕上げたいときには適している曲げ方です。
ベンダー曲げ
ベンダー曲げとは、プレス加工の一種でアルミ板を金型とパンチに合わせてプレスする曲げ加工方法です。
ベンダー曲げでは、V曲げやL曲げ、Z曲げといったさまざまな形に曲げることが可能で、プレス機を用いるため、生産速度が速く大量生産にも対応することができます。
しかし、厚みがあるアルミ板はベンダー曲げには向いておらず、また金型の設計や圧力計算など細かい設定が必要なため、技術者のスキルも必要です。
アルミの曲げ加工は割れに要注意
アルミニウムは他の金属よりも融点が低かったり耐食性に優れていたりと利用しやすい材料ですが、割れには一層の注意が必要です。
鉄やステンレスなどの金属は、素材が引っ張られると一部が硬化し、「一様伸び」という現象が現れるため成形性が良くなり加工性が高くなります。
一方、アルミニウムは「局部(点)伸び」といって伸びが一様にならず、曲げ加工で割れが発生しやすくなります。
また、アルミニウムが持つ素材の特性のほか、以下のような原因からも曲げ加工時に割れが発生します。
圧延方向との関係
金属は、材料の圧延方向に対して平行に曲げると割れが生じやすくなります。それを防ぐには、圧延方向と直角に近い形で曲げ加工を施すことが必要です。
バリ方向との関係
金型で打ち抜いた材料を曲げる場合、バリ方向が内側か、外側かで割れの起こる割合が変わってきます。
金型で抜いた材料は、バリ方向側が破断面となりますが、金属は表面が滑らかなほどよく伸びて割れにくくなります。
つまり、曲げる際にはバリ方向側である破断面を内側にし、せん断面を外側にすると伸びがよく割れも起こりにくくなるのです。
曲げ幅が小さすぎるため
曲げ幅が小さい場合は、曲げ部分が潰された状態になり、割れが発生しやすくなります。
一般的に、曲げ幅が板厚の8倍以下の狭い曲げの場合は、曲げ幅方向にも影響が出て割れやすくなってしまうため、アルミニウムの特性を理解した曲げ加工の設計と、曲げ加工時の機器調整など技術者の技量が求められます。
アルミの曲げ加工で割れのご相談は宮脇鋼管へ
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