鋼管とは鋼鉄製の管ですが、用途や材質によって適した加工を行うため、さまざまな形状で私たちの暮らしを支えています。
今回は、鋼管とは何か、その種類と実際にどのような場面で使われているかをご紹介します。
また、鋼管加工のスペシャリストである宮脇鋼管が得意とする、鋼管の加工方法についてお伝えします。
鋼管とは
鋼管とは、簡単に言うと「鋼鉄製の管」という意味です。
鋼管は、大きく種別すると、構造用と配管用に分けることができます。
構造用の鋼管は、ビル鉄骨や機械部品など、支柱屋根や骨格形成部材に利用します。配管用のものは、液体や気体を通すための管と言うとイメージしていただきやすいと思います。
鋼管は、使用箇所によって材質・品種が変わるほか、形状もさまざまで、丸や角型などがあります。
材質は、一般的には鉄(スチール)が多いですが、用途によっては、ステンレス、アルミ、銅などが利用されることもあります。
鋼管の種類と特徴
人々の暮らしを支える鋼管には多くの種類があります。ここでは、広く使われている鋼管の種類と、その特徴についてご紹介します。
一般構造用炭素鋼鋼管(STK JISG3444)
主に、土木、建築、鉄塔、足場、支柱、杭、その他構造物に使用されます。最も用途の広い炭素鋼鋼管です。
建築構造用炭素鋼鋼管(STKN490B JISG3475)
一般構造用炭素鋼鋼管の特性に溶接性を加えて、主に建築構造部材として使われます。
一般構造用角形鋼管(STKR JISG3466)
土木建築や、その他構造物に使用する角形鋼管として規格化されたものです。ホットコイルを用い、鋼材を引き伸ばしながら製造するロール成形によって製造されます。
建築構造用冷間ロール成形角形鋼管(BCR295 国土交通大臣認定)
冷間ロール成形によって製造される角形鋼管です。一般構造用角形鋼管と比べると、溶接性や変形性能に関して改善された材料です。建築用柱材として、より適した性能をもっています。
配管用炭素鋼鋼管(SGP JISG3452)
ガス配管とも言われます。使用温度が-15度~+350度 程度までで、さまざまな用途に用いられます。
機械構造用炭素鋼鋼管(STKM JISG3445)
機械、自動車、自転車、家具、器具、航空機その他の機械部品に用いられるものです。
機械構造用角形鋼管(STKMR、STKMR・S)
一般的にはスモール角と呼ばれ、冷延コイル、酸洗コイルを使用する、厚みの薄い(t1.2〜3.2)ものが中心となります。自動車用、 机、椅子、テーブルなどの家具用、各種インテリア製品、ベッド、棚などに使用されます。
圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG JISG3454)
ガス等の流体の輸送に用いられます。使用温度は−15〜350度 程度。比較的高い圧力〔10MPa(100kgf/cm2)以下〕の水・空気・蒸気・油等の配管向けです。
鋼管の用途
みなさんの暮らしの中で、どのように鋼管が役立っているのかなかなかイメージするのは難しいかもしれません。
さまざまな部材として使われる鋼管がどのような用途で使われているのかをご紹介します。
建築部材
支柱、梁、屋根、トラス、胴縁、ひさしといった建築部材として鋼管は使われます。具体的には、ビル鉄骨支柱、野球場・競技場屋根、立体駐車場支柱、耐震ブレース、物流倉庫支柱、鉄道駅舎屋根、戸建て・集合住宅部材支柱・胴縁といった箇所で鋼管は活躍しています。
景観商品部材
道路や鉄道、ポール、モニュメントといった景観商品では、道路標識支柱、信号柱、鉄道架線柱、架線金物(アーム材)、手摺、ハンドレール、照明ポール、防犯灯支柱、ガードレール支柱、鳥居支柱などで鋼管が使用されています。
遊戯器具部材
遊戯器具部材とは、公園や遊園地、テーマパーク施設などで使われるもののことです。公園の遊具全般(滑り台、鉄棒、ジャングルジム)、観覧車、ジェットコースターでも鋼管は使われています。
土木部材
工事をする際や人々の暮らしを守る土木部材として、鋼管杭、砂防堰堤、土木防災製品、推進管、遮音壁基礎杭、足場仮設材などで使用されます。
搬送機器部材
資材や製品などを連続的に搬送する際に必要となるのが、搬送機器部材です。コンベアローラー材、搬送架台、自動車塗装工場ハンガー材、立体駐車装置(支柱・台車)、物流ラック、パレットなどに鋼管は利用されています。
海洋構造物
海洋開発に必要となる、ジャケット(海洋基礎)、津波バリア、浮桟橋、洋上風力発電基礎といった海洋構造物に鋼管は使われています。
橋梁関連部材
歩道橋、水管橋、空港進入灯橋梁、工事用歩廊部材などでも鋼管は使われます。
産業機械部材
建機、産機、農機具にも鋼管は使われ、クレーン支柱・架台、トラクター運転席フレーム・転倒防止材、芝刈り機ハンドル部材、切断加工機フレーム材、産業ロボットアーム材などに利用されています。
鋼管加工の難しさとは
鋼管加工には難しさがあり、それをクリアするためには高度な技術とノウハウが必要です。具体的に、どのような難しさがあるのかをご紹介します。
外径、板厚に応じて加工機が異なる
鋼管はさまざまな用途で使われますが、その用途にあった形に加工しなければなりません。要望される外径に対応できる加工機がないとか、扱える板厚ではないという理由では加工そのものができません。
鋼管加工には、対応できる最新鋭の加工機や設備、そしてそれらを扱える熟練の技術が必要です。
丸パイプは転がり回るので安定しない
丸パイプは見た目の良さもあり選ばれることが多いものですが、加工をする上では、転がり安定性がない点に注意が必要です。
例えば丸パイプ同士を溶接をする場合、位置を合わせることが非常に難しく、そのために加工治具を製作しなければならないほどです。
高い技術を持つ熟練者が必要となり、技術者を育てていかなければならない点も鋼管加工の難しさと言えます。
3次元加工の技術の高さ
3次元加工とは、X軸(水平軸)とY軸(垂直軸)の2次元的な加工だけでなく、それにZ(奥行き軸)軸を加えた加工のことです。
3次元加工では図面が複雑化し、それを間違いなく読み取る技術がまず必要です。そして最新の機械を備えていること、正しく扱える者がいるかも重要です。
扱い傷、凹みなどが発生しやすい
鋼管を加工する上で、気をつけていても発生してしまうのが扱い傷や凹みなどです。それらを防止する取り組みや、品質を維持できる保管場所なども必要です。
宮脇鋼管では、鋼管が傷ついたり凹まないよう専用ラックに収納しております。また、厳しい外観検査を行うほか、計測器具の取り扱い方法や検査手順の日々見直しを行っています。こうした見直しが、高い品質維持とお客さまの問題解決に繋がると考えます。
宮脇鋼管の加工技術とサービスについて
宮脇鋼管では、
- 一般構造用炭素鋼鋼管:STK400、STK490
- 一般構造用角型鋼管:STKR400
- 建築構造用炭素鋼鋼管:STKN490B
- 建築構造用冷間ロール成形角形鋼管:BCR295
- 配管用炭素鋼鋼管:SGP
- 機械構造用炭素鋼鋼管:STKM
の鋼管を扱っていますが、複雑なものも丁寧に美しく加工いたします。また、東日本、西日本のそれぞれに国内最大規模の加工工場を所有し、さまざまな加工に対応できる最新鋭の加工機・加工設備が稼働しています。
宮脇鋼管が得意とする鋼管加工技術についてご紹介します。
設計・製作
図面
鋼管加工のみに留まらず、ニーズに応じて鋼構造物の骨となる鉄骨を製作するための図面を、打合せから、製作方法、運搬、現場での組立を考えて作成していきます。
その図面をもとに、全ての加工過程を一貫することで、より高品質な製品づくりを実現しています。
溶接
切断などの一次加工と組み合わせることで、ワンストップでの鋼管構造物製作を依頼することができます。
単純加工
直切
宮脇鋼管が、特に自信を持っておすすめするのが「切断加工」です。小径から大径まで、自社開発の切断機があり、いかなるサイズでも発注することができます。
斜切
斜切は高度な技術を必要とし、複雑な斜切になる場合は模型を作り加工に入ります。高精度化が可能な切断機を開発したため、先の尖った鋭角な斜切も可能です。
特殊加工(端面加工)
開先
斜切や鞍型の開先、内径側の開先、短尺~長尺など、他社で断られた複雑なものでも、特徴の異なる16台の開先専用機で対応しています。
スリット
溶断熱によるひずみも計算に入れた高精度な「溝」加工を施すため、ガゼットプレートをすんなりと差し込むことができます。
鞍型
丸パイプ母管に馬の鞍の形状をした枝管を接合する複雑な溶断を高精度に加工します。1991年の屋根開閉式多目的競技場に始まり、2020東京オリンピック競技場と著名案件の鞍型加工に携わり、多くの実績を残しています。
面取り
お客様に面取りする理由を聞き、その用途に合った面取りを行います。
管端つぶし
鋼管の端部を寸法通りにプレス加工します。金型により成形が自在にでき、穴あけ加工も組み合わせ可能です。
ねじ切
宮脇鋼管ではダイスやタップ、旋盤などを用いて鋼管に溝を彫りネジを作ったり、溝を切り込む複雑で難易度の高い「ねじ切」も取り扱っております。
特殊加工(表面加工)
フライス
丸穴・四角穴・小判穴・切欠きなど、ドリルマシンでは対応が難しかった加工が1台で対応可能になりました。
穴あけ
溶断穴あけやドリル穴あけ、フライス穴あけなどCADデータがあれば自動的に読み込んで製品に仕上げます。切断と同時に穴あけも行うので、寸法のズレが生じることもありません。
ストレーナー
「濾過器」として使う鋼管の表面に、無数の穴を開ける複雑加工です。3次元レーザー加工機で、どのような形状の穴でもピッチでも瞬時に対応できます。
芯罫書
丸パイプや角パイプの芯罫書、部材取り付けのマーキングを、機械で自動的に、かつ正確に行います。宮脇鋼管の3次元加工機では切断加工と同時に自動で罫書くため、精度が高く、組み上げ時にとても役立ちます。
特殊加工(曲げ)
「シワが入る」「Rがきつすぎる」などの、他社では困難な曲げも、丸・角鋼管、鋼材を問わず対応します。
特殊加工(表面処理)
めっき
問題になっている状況をお伺いしたうえで、今までの経験を活かし、お客様の要望におこたえする用途・素材に見合っためっきを提案をします。
ショットプライマー
ショットプライマー加工は、造船・橋梁・立体駐車場など、様々な構造物の一次防錆に使用される鋼管の塗装下地です。
長尺や溶接後の構造物であっても、ショットブラストを施し、下地塗料を吹き付けることでサビの進行を防ぐことができます。
塗装
宮脇鋼管では、様々な鋼管加工はもちろん、下地塗装である一般錆止め(赤錆び色)から、最終仕上げ塗装まで、一貫した作業工程で行います。
鋼管加工のベストアドバイザー宮脇鋼管へ
鉄の鋼管をお客様がすぐに使える状態の製品に加工してお届けすることができる新しい加工サービスも実施しております。
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